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12月のこの時期になると、MD的な冬のセールの準備は、ほぼほぼ終了していることでしょう。(一部スタートしているところも当然あるが。)
また、この時期になると、MDが新たに冬商品を発注することは、ほぼない筈です。そんなこの時期のMDが、考えなければならないのは、この秋冬商戦で、少しでも売上・粗利益を最大化すること。そして、同時に残在庫を出来るだけ残らなくする為の準備をしておくということです。
先述した目標を達成する為に大事なことは、倉庫や店頭で見た在庫を主観的に捉え、現状の良し悪しを決めつけて、先の施策を実施する。また、ミクロ視点で数字関連の細かい作業を優先し!指示が細かくなりすぎてしまうこと!を、実施するのではなく、組織全体の大枠の数字の現状と、先の見込みを表現しておくことです。そのことが出来てから、それ以下の細かい施策を考えるべきです。ということで、以下簡単な例を掲げて、先ずMDが把握すべき数字の捉え方をお伝えしますと
●ある組織A秋冬商品の12月1日時点での数字の大枠
・この組織は11月まで売上予算の95%程度くらいで推移。
・上記を受けて、売上予算95%で先の売上を予測。12月~2月末までの売上予測は1.4億円
・11月末時点の在庫7200万円。
・12月の冬仕入原価(冬仕入の最終)700万円
・この組織の、商品の値入率は60%(原価率40%)
上記の組織を例に、話を進めていきます。
まず、上記の数字をみると、この組織Aの冬商品の在庫を完全に無くすには、12月~2月末までに、売上原価が7900万円必要だ!ということを理解できます。
→12月期首在庫7200万円+12月冬商品仕入700万円=7900万円
12月以降の売上予測1.4億円から、秋冬商品を完全消化させる為に必要な売上原価7900万円を引くと、12月~2月末の秋冬商品の粗利益高は?
→売上予測1.4億円-売上原価7900万円=6100万円
となり、12月~2月までの秋冬商品の粗利益高は6100万円になります。上記のことを表した図が、以下の図になります。
このようなことは、計算をする!というよりも、上記のような図で表した方が、現状の大枠を捉えやすくなり、数字だけでみるよりも理解が進みますので、読者の皆様方も是非真似してみてください。話を戻し、上記の図から更に読み取れることは、在庫を完全に消化させる為の粗利率は?
→6100万円(粗利高)÷1.4億円(12月~2月の売上予測)≒43.6%(粗利率)
となり、43.6%の粗利率となります。組織Aの値入率は60%(原価率40%)ですから、今回の秋冬商品を完全に消化させる為のOFF率設定は、約29%設定であるということがわかります。
(OFF率の計算方法は、私の過去記事をご覧くださいm(__)m)
このように、数字で現状のポジションが把握できたら?
・完全消化の計画といえども、商品は余る。残しても良い在庫金額設定は?
・上記のことを加味し、より売上・粗利益を多く獲得出来ないか?
・上記の大枠の数字をベースに、更に商品単品ベースでの分析・検証を行ってみる
・以上のことを鑑みて、セール価格設計を行う
等のことを実施し、冬のセールにのぞむと良いでしょう。また、商品のセール価格の設定については、以下の過去記事をご覧ください。
https://style-picks.com/blogs/blog/md-review5
更に意識してほしいことは、実際セールが始まると、当然のことですが、想定通りにことが運ぶわけではありません。ですので、セールでの途中経過をしっかりと検証・分析し、売上・粗利・在庫コントロールを丁寧に行うと良いでしょう。しかしながら、商品の価格変更を短期間で連発するようだと、現場(店頭)に大きな負荷が掛かってしまうことになりますので、現場が負担にならないよう考慮することも忘れないようにしましょう。以上で今回の記事は終了です。今回の記事が皆様方のお役に立つことが出来れば、嬉しく存じます。
繊研plusさんで、新連載が始まりました。ぜひご覧くださいm(__)m
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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