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アパレルECの運用にて売上アップの為にサイトコンテンツを充実させる方針は、恐らくどのブランド・企業でも執られている事でしょう。特に販売員のコーディネート画像は多くのメディアが効果を報じているせいか、疑いなく皆様導入されているご様子。
(中には水増しのケースもあるので要注意ですが…。)
筆者もECで商品を購入する際、なるべく自分の体型と近い人のコーディネート画像からサイズ感を確認しますし、手持ちの商品と似たようなコーディネートがあればイメージも膨らむので、購入の背中を押してくれる情報として重宝しております。経由売上に関してもサービス側が計測してくれておりますから、それを元に効果検証が可能。(しつこいようですが水増しのケースは非常に多いです。)ですから、ここを課題に思われているブランドはあまり無い印象です。しかし、ブログやNEWS、特集記事などの「記事コンテンツ」の効果検証とそこからの対策については、企業内でも方針が曖昧なケースが非常に多いです。
まず効果検証ですが、これはGoogleアナリティクス(以下、GA)のセグメント機能を使えば、経由したユーザーの購買状況について確認は可能です。(コーディネート経由売上の検証と同様)あくまで「経由売上」なので、記事コンテンツがどこまで影響して売上に繋がったか?は未知数。ですが、日々検証しておりますと、経由売上が発生しやすい記事というのは確実にありますので、データを集計しておく事は無駄ではないと考えております。セグメント機能が使えず、経由売上が見れずとも、記事のPVや滞在時間・直帰率・離脱率・スクロール率を集計しておけば、記事がユーザーにとって有益だったかどうか?程度は測れるかとは思います。
一番問題になりやすいのは、「そもそもPVが少なすぎる」という点でしょうか。記事を更新したのは良いが、そこから見てもらう為の対策を取っておらず、経由売上が発生していないケースですね。筆者が業務上、確認するケースは下記のようなものでしょうか。
①グローバルナビゲーションとトップページのメインコンテンツのバナーしか導線が無い
(メインコンテンツのバナーは一覧への導線のみで、新着記事が複数表示されていない場合も)
②メルマガやLINE・モバイルアプリでプッシュが弱い
③記事のカテゴリー分けができていない
④タイトル・ディスクリプションの整備ができていない
まず①ですが、ユーザー動向を日々確認しておりますと、大概のユーザーはまず商品ページへ遷移します。これはトップページから流入したユーザーも同様ですし、商品ページがランディングページになっているユーザーも多数いらっしゃいます。GAのユーザーエクスプローラーを確認すればおわかりかと思いますがそこからの動きは、
一覧ページ → 詳細ページ → 一覧ページ
詳細ページ → 詳細ページ → 詳細ページ
のような動きが一般的です。ECサイトへ流入するユーザーはざっくりでも目的を持って訪問している為、このような動きになりやすいのでしょう。よくECでお買い物する方からすると当たり前のお話なのですが。そんな訳で、トップページのみに記事の導線があっても回遊がそれほど促進されません。モバイルの場合、グローバルナビゲーションがハンバーガーメニューに隠れてしまう事が多いので尚更ですね。
ではどうしたら良いか?なのですが、商品詳細ページに「関連記事」を表示させるのが一番良いでしょう。スタッフの着こなしをまとめて記事にしてしまっても良いでしょうし、1アイテム3コーデのような内容でも良いでしょう。商品詳細ページで書ききれない魅力を記載するようにしてください。逆に、商品詳細ページの情報量をめちゃくちゃ豊富にしているサイトなんかは、それほど記事コンテンツに力を入れていないケースも見かけますが、これはよく理解できます。
もちろん、これだけでPVが担保される訳ではありませんので、②が必要になります。メルマガで1度プッシュしただけで、あとは放ったらかしになっておりませんか?1通のメルマガを全ての人が見る訳ではありませんので、記事で紹介しているアイテムの着用期間が許す限りメルマガにバナーは貼っておきましょう。セール・クーポン配信時など、開封率が上がりやすい件名の際は特にやっておきたいですね。LINEに関してはプッシュしていない時でもユーザーは実は見に来ています。その場合、直近のプッシュしたリンクやリッチメニューからの流入というのはバカにできません。そちらにも導線があるのと無いのとでは大きな差が生まれます。
③は記事の内容にもよりますが、ブランドヒストリーを知って欲しい内容でしたり、リペアや商品のお手入れ方法などをお知らせする場合は必要になります。ほとんどの記事が新商品に絡む内容でしょうから、時期が過ぎると回遊してもらう必要が無いのは理解できますが、常に読んでもらいたい記事がある場合はカテゴリー分けを丁寧にしておき、回遊を促進しましょう。メルマガ登録者にシナリオで発信する場合、このカテゴリーが使えるケースもあります。
最後に④ですが、ECにおける記事コンテンツでSEO対策はほとんどのケースで不可だとは思います。ですが、稀に取れてしまうケースもあるので事前にユーザーの検索ニーズは汲み取っておきましょう。これから執筆する記事で狙えそうなキーワードをブラウザのシークレットモードで検索してみてください。ECサイトで購買に結びつきやすいキーワードは、多くの場合「商品ページ」が上位表示されますが、細かい商品カテゴリー名で検索すると、稀に記事コンテンツばかりが上位に来るケースもあります。その場合、タイトル・ディスクリプションをしっかり整備する事で、意外と上位を狙える事があります。検索上位を獲得できれば、その分流入は増えますから、効果が伸びる可能性が上がるという事です。
上記以外にも、リマインド用の記事を執筆する事で商品ページの再訪を促進する、という手法もありますね。「先週の人気ランキング」などはその類のものになります。
いくつかよく使われる対策を書いてみましたが、これらを実行せずにPVが少ないからといって記事の内容が薄くなってしまう事もしばしばあります。まずは購買に結びつきやすいと思われる記事を執筆し、PVを担保する為の施策を実行。効果が弱い場合、次回書く記事を練る、というループが必要になります。新商品の入荷をお知らせするのはとても重要な事ですが、それだけならメルマガ・LINEで事足ります。やっつけで記事を書くのではなく、メルマガやコーディネート画像だけでは伝わらない・伝わりにくい内容をお知らせできるよう活用して頂ければ幸いです。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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