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ショップで在庫金額はどのようにチェックしたらよいの?

★在庫の重要性はわかるが、在庫を理解することは難しい?

アパレル小売業の仕事に従事している方々の中で、在庫の重要性を理解していない方々はいらっしゃらないことだと存じます。しかしながら、在庫の重要性は理解できていても、難しいと感じる方々の方が大半を占める筈です。特に、ショップ勤務(EC担当者も含む)の方々にとっては、在庫の重要性は理解できるけど、学ぶ場がない!と感じられている方々が多くいらっしゃることでしょう。ということで、今回の記事は、あるショップをモデルに在庫金額の数字の見方をお伝え致します。

★架空のショップで在庫金額に関わることを考えてみよう!

以下、ある架空のショップAを設定致します。

・ショップAの標準展開SKU数300(今回は1SKUにつき商品1点店頭展開とします)
・元売価平均15,000円  ・原価率平均40%

以上のように設定致しました。
ということは、このショップAの店頭を埋めるのに必要な在庫原価金額は?
→300×(15,000×40%)=180万円
となります。ショップ勤務の方々の中には、ショップの在庫金額を売価(上代)で把握されている方もいらっしゃることだと思います。しかしながら、在庫金額は基本原価で見るべきです。理由は他の連載でも記事にしておりますので、今回は述べませんが、在庫金額を原価で把握する癖をつけておきましょう。(以下、在庫金額は全て原価です)また、店頭展開商品分の在庫金額は、アナログ手法でざっくりでも良いので、大体の金額は把握する癖もつけておくと在庫に対する理解が更に深まります。

ということで、ショップAの設定を元に、更に条件を付け加えます。

・11月の売上予算1000万円  ・粗利率予算55%

以上の条件を付け加えます。
以上の条件から見える11月の売上原価予算は?
→1000万円(売上予算)×55%(粗利率予算)=550万円(11月の粗利高予算)
→1000万円(売上予算)-550万円(粗利高予算)=450万円(売上原価予算)
となり、ショップAの売上原価予算は450万円です。(売上原価=売上-粗利高)

★ショップAの店頭・バックヤード在庫金額のイメージを具体化してみよう!

仮に、このショップAの10月末在庫(11月期首在庫)が店頭分の在庫しかなかった場合?11月の売上原価予算450万円に対して、11月の期首在庫が180万円なのですから、ショップの在庫が全く足りないのでは?ということが、なんとなく理解して頂けると思います。ではバックヤードに、各SKUにつき2点在庫があった場合はどうでしょうか?ショップAの在庫金額は?180万円の3倍(店頭分×1点・バックヤード分2点)の540万円となります。

ここで読者の皆様方にお伝えしたい在庫金額を見る際の基本は?

”次月の売上(原価)に対して、当月末の在庫(原価)がどれくらいあるのか?”

ということです。この見方を常日頃から意識して頂けると、より在庫金額に関する理解が深まっていきます。今回の例でいけば、11月の売上原価予算に対して、10月末在庫原価がどれくらいの金額があるのか?ということになります。その際に使用する計算式は?
→当月末在庫原価÷次月売上原価(前月末在庫原価÷当月売上原価でも同じこと)
となります。ショップでも見られる場合が多い在庫消化月数(週数・日数も同様)を見るのもありなのですが、在庫日数の計算式ですと、これまでの売上から売上の平均値を出していますので、セール期間中などは、その数値がアテにならない場合があります。ですので、次月の売上に対して、今の在庫がどのポジションにあるのか?ということを確認する癖をつけましょう。

先述したショップAで考えてみますと、10月末が店頭を埋める分しか在庫がなかった場合、在庫金額は180万円となりますから。
→180万円(10月末在庫)÷450万円(11月売上原価予算)=40%
となり、11月開始時の在庫は11月に売る分の40%しかない!ということです。各SKU3点商品があった場合は、540万円となりますから。
→540万円(10月末在庫)÷450万円(11月売上原価予算)=120%
となり、11月開始時の在庫は、11月に売る分の120%ある!ということになります。

あと、11月の売上・粗利予算を達成する為に重要なことは、11月にどれだけの仕入(金額)があるのか?ということです。当然のことですが、10月末に店頭展開分の在庫しかない場合、11月に仕入が大量にあれば(最低でも11月の売上原価予算以上の仕入原価)、売上・粗利予算を達成することが可能です。しかしながら、11月3日くらいまでに大量の仕入がないと、11月の売上・粗利予算を達成することが不可能!だということは、ショップ勤務の方々でもなんとなく理解できる筈です。例えば、11月15日に大量仕入があったとしても、11月前半は在庫が少ない状態ですから、売上・粗利予算ともに大幅に下回っている!ということは、容易に想像ができるでしょう。
ここからは、私の独断と偏見になりますが、昨今のアパレル小売業界では、リードタイム(以下LT)が長いのが現状です。更にいえば、商品の納期遅れが発生することも日常です。ですから、最低でも次月の売上原価に対して、最低でも100%以上の在庫原価を準備できていないと、次月の売上・粗利予算を達成するのは難しい!と考えた方が良いでしょう。(LTに関する記事は以下の記事をご覧ください)

リードタイムの長さによるデメリットを克服するには?

★在庫回転率を予算化し、(組織内で)周知・共有することが重要!

では、当月末在庫原価÷次月売上原価が何%くらいが適正なの?ということですが、それは組織それぞれに変わってきます。また、多店舗を展開する組織の場合は、センター倉庫にも在庫がありますので、店舗の数字の出方と組織全体の数字の出方に差異が出てくることもあるでしょう。
因みに、アパレル小売業で重要視される指標として、在庫回転率((期間)売上原価÷(期間)平均在庫原価)という指標があるのですが、当月末在庫原価÷次月売上原価の数字が、毎月100%近くで落ち着く場合は、その組織の在庫回転率は年間で12回転近くいきます。200%近くで毎月落ち着く場合は、年間で6回転近くになります。当然のことながら多くの組織は、毎月この数字が一定ではないのですが、これは、一つの目安として考えて欲しい在庫数字の見方です。(因みに年間12回転しているアパレル小売業は、昨今殆どないと考えられる。目安としてヤングレディースだと6~9回転前後。メンズカジュアルで3~4回転前後は目指したいところですが。。。)ですので、組織の在庫回転率の年間予算はどうなっているのか?ということを、MDはショップ勤務(当然EC担当者も)の方々等に知らせる必要がありますし、MD以外の仕事に従事されている方々は、知っておく必要があります。

ということで、今回の記事はこれにて終了となりますが、再度訴えたいのは、次月(次週でも可)の売上原価(予算)に対して、当月末の在庫原価がどれくらいあるのか?このことをチェックする癖をつけておけば、アパレル小売業に関する在庫の理解も深まる筈です。次回の記事もよろしくお願い申し上げます。

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