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前回の続きになります。アパレルECのデータ計測にて、日々確認する用のダッシュボードはどう作れば良いのか?今回は、
・量販向けブランド
・卸メインブランド
・服飾雑貨ブランド
を題材に書いてみたいと思います。
まずは量販向けブランドから。どのファッションブランドでも大概運用しているのはWEB広告なのですが、経験上、量販向けのブランドは特に広告が重視されやすいです。理由としては、
・低価格なので衝動的に購買に至りやすい
・SKUが多いからヒットしやすい
・ブランドに対して強い思い入れがあるお客様が少ない
などが挙げられるかと思われます。リピート率が高くとも、そこまでブランドロイヤリティが強いという感じではないのが特徴的でしょうか。そんな訳でダッシュボードには広告の詳細をなるべく差し込んでおく事が多いです。ではその切り口はどのようになるでしょうか。
全ての広告パラメータを確認→どれがどの媒体(Google・Yahooなど)やどのキャンペーンに該当しているか?を確認。なるべく細かく確認できた方が良いので、「セッションの参照元メディア」「セッションのキャンペーン」「セッションの手動広告コンテンツ」あたりを確認しておきましょう。(広告の種別によって必要なディメンションは変わります。)
※今回はGoogle広告側のレポートの指標は割愛します。キャンペーンごとの費用対効果を正しく見たい場合は、手動で計算するか、Google広告のレポートをBigQueryに送り、GA4のデータと統合しつつレポートを作成する必要があります。エクセルなどで手動で費用対効果を算出しても良いでしょう。
Looker Studioでレポートを差し込めないのですが、間接効果を見たい場合はGA4の「モデル比較」や「コンバージョン経路」(名称が「キーイベントのパス」に変わっとる…。)をご確認ください。
(こちらに間接効果については書いております。)
Looker Studioでは「ユーザーの最初の参照元メディア」は確認できますので、最大30日間はコンバージョンの起点を遡ることが可能です。詳しくは下記ヘルプ参照。
各種キャンペーン経由でどのページに流入したか?は確認しておいた方が良いでしょう。P-MAXなどで意図しないページに送客されている場合は除外設定などが必要です。
続いてこちら。卸メインのブランドだからと言って、何か大きく変わる訳ではないのですが、卸先店舗への流通から認知が上がりやすいという特徴があります。なので見ておくべきポイントとしては下記でしょうか。
どの地域(卸先が想定できる)からの認知が購買につながりやすかったのか?は日々、見ておきましょう。上記を検索流入でセグメントしてもOK。卸先によって、自ブランドの販売にどれだけ力を入れてくれているか?は全く違いますし、よく販売してくれているショップには委託でも良いので商品を積極的にフォローした方が良いです。そうすると、そのショップにてブランドのファンが増えやすく、結果、指名検索から自社ECにて物が売れやすくなります。
あとは他のブランド同様、ブランド指名検索の増減は確認しておきましょう。卸先の展開店舗数・流通量によって変動しますし、卸メインだからと言って雑誌媒体への出稿は必須です。自社の広告費によって検索行動が発生したのなら、それを自社ECで取りにいかないと勿体無いです。
最後は服飾雑貨。バッグやシューズだからと言って、特別見る指標が大きく変わったりしないのですが、プラスアルファで見ておいた方が良いものをいくつかピックアップしておきます。
バッグ関連では特に「間接効果」はしっかり見ておいた方が良いでしょう。販売期間が季節によって縛られず、オールシーズン購買できるアイテムなので、検討期間が長いです。特にSNSや広告経由の間接効果が重要ですね。値段が高ければ高いほど、検討期間は長くなりがちです。
シューズ関連はローカル検索とチャット対応の効果を特に見ておきましょう。これもシューズ特定の事情でもないのですが、ウィズやアッパーなど、サイズ選びがとても難しいのでサイズ表だけではわからない事が多いです。この場合、店頭送客した方が良く、また店舗検索からゼロクリックでGoogleビジネスプロフィールを見て来店されるケースもあるでしょう。Googleビジネスプロフィール上ではレポートが出ますので、そちらも合わせて確認しておきましょう。
また、サイズの質問をチャットで回答するケースも多くなると想定されますので、チャットのクリックイベントを取得しておき、そこからどのような行動を取ったか?なども確認しておきましょう。
中には、返品送料無料を実施してご自宅で試着してもらう事を目的としたECサイトもあるでしょう。その場合、返品率や実施した際のCVR等も確認が必要ですね。
6つほどパターンを見てきましたが、ブランドや取り扱う製品の特性によってKPIは大きく異なります。普段からざっくり見ておくべき指標とは言え、ブランドに合わせた指標を見ておかないと対策はおろか、課題抽出すらできない事も多々あります。自分たちが見ている指標は一体何のためなのか?常日頃から疑ってかかる必要はあるでしょう。自前で作成するのが難しい、という方はぜひお気軽にご相談ください。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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