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MDのための決算書入門?|クイズで楽しく学ぼう②

★アパレル決算クイズ第2弾

前回の記事が予想以上に好評だった??ようなので、今回も上場アパレル小売企業の決算資料の数字をもとに、MD向けにクイズを出題します。

MDのための決算書入門?|クイズで楽しく学ぼう①


前回の反省を踏まえ、読者の方から販管費率に関する情報が欲しいというご意見をいただきました。 そこで、今回クイズで取り上げる企業の共通で公開している販管費含む費用・営業利益(対売上比率)のデータを円グラフ化し、前回の図と合わせて3種類の図を作成しました。これらの図を参考に、クイズに挑戦してみてください。

★クイズを解いてみよう!

今回のクイズの流れを以下にお伝えします。上場アパレル企業の決算資料から数値を読み取り、3種類の図を作成します。
図①:売上=粗利益+売上原価を記載した図

図②:販管費含む費用・営業利益(対売上比率)の円グラフ

図③: 期首在庫+仕入原価=売上原価+期末在庫を記載した図

今回は、レディースシューズブランドのオリエンタルトラフィックを抱えるダブルエーとTOKYO BASEの2社の図を作成しました。ダブルエーは、レディースシューズのオリエンタルトラフィックを中心とした事業構成で、オリエンタルトラフィックは低価格帯のレディースシューズです。近年、M&Aにも力を入れており、レディースシューズの中価格帯ブランドである卑弥呼を買収し、立て直しを図っています。一方、TOKYO BASEは中価格帯から高価格帯のセレクトショップです。国内・海外ブランドの仕入れだけでなく、自社商品の展開も行っています。
以下のどちらの図がダブルエーの2024年1月期、どちらがTOKYO BASEの2024年1月期を示しているか、以下の図から判断してください。
今回も、数値の単位等を揃えて図を作成しました。以下の図をご覧ください。

○Aの企業

○Bの企業

★クイズのヒント

では、クイズのヒントをお伝えします。ダブルエーとTOKYOBASEの2024年1月期の売上高は、約200億円とほぼ同規模ですが、ダブルエーは、主力事業のオリエンタルトラフィック系のショップを2024年1月期に30店舗増設しています。また、卑弥呼の既存店売上高が大幅に増加しています。一方、TOKYO BASEの売上高は、2023年1月期と比べさほど伸びておらず、中国を中心に大幅に店舗数を削減しています。詳しい内容は、以下の記事に記載しておりますので、そちらをご確認ください。

話題の企業の在庫を調べてみた!~MD視点でみる決算資料~

★正解と数字からみえる考察

読者の皆さん、クイズの正解はお分かり頂けたでしょうか?正解は、AがTOKYO BASE。Bがダブルエーです。

では、数字から見えるダブルエーとTOKYO BASEの特徴を簡単に説明致します。まずは、売上・粗利益から見える部分です。ダブルエーの粗利率は63%と、上場アパレル企業の中では、高い粗利率を誇っています。オリエンタルトラフィックの店頭を見る限り、そこそこのセール施策は行っていますから、商品の値入率は高いと推測されます。前回の記事で、低価格帯の商品で高い値入率を維持するのは難しいと述べましたが、ダブルエーの決算資料を見ると、同社が仕入先との関係性の構築に多大な努力をしていることが分かります。この件については、以前私が執筆したダブルエーの決算記事に記載していますので、興味のある方はご確認ください。

MD視点でみる決算資料~ダブルエー編~


次は販管費率から見える部分です。都心の1等地やファッションビルに多く出店しているTOKYO BASEは、ダブルエーに比べて地代家賃の比率がかなり高くなっています。逆にダブルエーは出店を大幅に増やしていることが、減価償却比率の高さに表れています。また、昨年、月給40万円で話題になったように、人件費比率もTOKYO BASEの方が高くなっています。
最後に仕入・在庫から見える部分です。上述したヒントに、昨年度ダブルエーさんは、大幅に出店を増やしているとありますから、在庫が1年で大きく増えています。また、図から算出した在庫回転日数は、ダブルエーが約180日、TOKYO BASEが約106日でした。
(注:この数値はあくまで概算であり、実際の在庫回転日数とは異なる可能性があります。しかし、両社とも決算月が一番在庫が少ない時期なので、実際の在庫回転の数字はもう少し悪いと推測される。)
シューズ専門店は、シューズのサイズの多さや定番モデルの多さなどから、平均在庫が膨らみやすい傾向にあります。ダブルエーの場合、この傾向が顕著に見られます。一方、TOKYO BASEは店舗数は増えていませんが、在庫金額がかなり増加しています。先述の記事でも触れたように、MDの数字面での仕事に何か問題を抱えている可能性は高いと言えるでしょう。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?私の見解が全て正しいとは考えていませんが、読者の皆様が、決算資料に興味を持ち、MDの数字面でのスキルアップに繋がる一助となれば幸いです。今回の記事は以上となります。

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