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先日、以下の記事を投稿しました。
上述いたしました記事において、私は以下のように述べさせていただきました。
目先の在庫の多さやプロパー消化を意識しすぎて、仕入れを抑制しすぎると、販売機会のロスにつながり、結果として売上が低迷してしまう可能性が高いということです。
しかしながら、誤解のないように申し上げておきますが、不振在庫を放置したまま、仕入を増やすべきだ、という意味ではありません。仕入を増やすには、不振在庫を現金化することが欠かせません。
前々回、私はOTB表に関する記事を投稿しました。
OTBは「Open To Buy」の略で、「買うために開ける」という意味です。ここでいう「開ける」の意味は、「仕入枠を開ける」という意味になります。ヒット商品の場合は、更なる売上の拡大が見込まれますから、仕入を増やす必要がありますし、適切な量の仕入だった場合は売価変更を行う必要はありません。不振在庫に関しては、仕入枠を開けるためには、当然ながら在庫を現金化するための施策を打たなければなりません。一般的に、不振在庫を現金化する上で一番効果的な施策は、商品の売価を変更することです。しかしながら、売価を変更するにしても、正しい手順を踏まなければ、在庫を現金化できずに終わったり、必要以上に粗利益を損失してしまう可能性が高まります。
不振在庫を現金化する為の手順は以下の通りです。
1.販路の拡大可能性を検討する
→商品の展開店舗を拡げる等の販路拡大を探っていく
2.OTB表を活用し、在庫目標を設定し、売上・粗利の見通しを立てる
→在庫目標達成可能な売上・粗利を、OTB表を用いてシミュレーションします。
3.過去データを分析し、不振在庫の消化に必要なOFF率を算出する
→過去の販売実績を基に、不振在庫を消化するために必要なOFF率を算出します。
4.粗利率目標との乖離を調整する
→3.の算出結果と、事前に設定した粗利率目標との間に乖離がある場合は、OTB表の粗利率見通しを修正します。
5.具体的な在庫消化施策を立案し、実行する
→OTB表の見通しを基に、販促の立案、セールの実施、(想定以上の在庫だった場合は)アウトレットへの転売、など具体的な在庫消化施策を立案し、実行します。
以上、不振在庫を現金化する手順をご紹介しましたが、重要なのは、このような状況にならないよう、日々の業務で売れ行きが鈍い商品を早期に発見し、迅速に対応することがマーチャンダイザー(以下MD)に求められます。優秀なMDの条件は、自らの課題にいち早く気づき、迅速に対応できることです。MDとしての自身の立場を守るために、楽観的な予測や願望に囚われ、その結果判断が遅れてしまうと、会社や組織に大きな損失を与える可能性があります。そのため、MDは最低でも3ヶ月先の売上、粗利、在庫回転率をOTB表で計画し、改善策を検討し、実行に移す準備を常に行うべきです。
今回の記事は、以上となります。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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