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アパレル卸売業必見?小売業参入を成功に導くMD戦略とは?

★卸売業の主体のブランドのMDは、基本展示会ベース

今回の記事では、弊社が業務を受託する機会も多い、卸売業を主体としながら小売業も兼業している、または、これから小売業を始めようとする組織に向けて、マーチャンダイジング(以下MD)の話をお伝えします。
アパレル業界において卸売業を主軸とする組織は、通常、年に複数回開催される展示会を基にしたMDを展開しています。しかし、卸売業を主体とする組織が小売業を兼業している、あるいはこれから小売業を始めようとする場合、卸売業の顧客の事情を考慮すると、展示会ベースのMDを容易に小売業向きのMDに転換することは難しいと考えられます。そこで今回は、卸売業を主体とする組織が小売業を運営するにあたり、MDにおいて実施すべき事項と注意点について解説します。

★MD体系を整える

まず、卸売業を主体とする組織が小売業を兼業するにあたって、最初に取り組むべきことは、MD体系を具体的に構築することです。特に構築すべき点は、以下のとおりです。
〇商品分類体系の確立
〇本社在庫の管理をどうするのか?
〇(小売りの)標準店舗の確立
他にも検討すべき事項はあるかと存じますが、今回は上述した項目に絞って、ご説明を進めさせていただきます。

〇商品分類体系の確立

卸売業を主体とするブランドであっても、事前に組織内の商品分類は確立されているかと存じます。しかしながら、これまで拝見した多くの組織では、その分類が具体性に欠け、顧客の消費動向を分析できるものではありませんでした。特に、データの重要性に対する意識が低く、卸売業を主体としているにもかかわらず、在庫過多に陥ったり、次シーズンに向けた検証ができておらず、売上が減少傾向にあるといった事例も見受けられました。小売業を運営するにあたっては、より顧客の消費動向を把握する必要があり、データ分析・検証が不可欠となります。また、卸売業以上に在庫リスクを抱えることとなり、より顧客の消費動向に適した「適時」「適品」を実現しなければなりません。そのための最初の一歩として、自社ブランドの商品分類を顧客の消費動向が具体的に把握できるものへと再構築、または新たに構築する必要があります。以下、参考となる記事のリンクを貼っておきますので、ぜひご覧ください。

アパレルMDにおける「適時」分類の重要性

カテゴリー選定はMDにおける重要な部分

〇本社在庫の管理をどうするのか?

アパレル業界における卸売業の現状は、基本的に受注生産を主体とし、在庫を極力持たないことが一般的であると考えられます。したがって、卸売業を主体とする組織が小売業を運営する場合、本社倉庫の在庫は基本的に小売業用の在庫となるため、本社倉庫の在庫管理に過度に注力する必要はなく、むしろ簡素化して運営することが望ましいと考えます。
ただし、ブランドの特徴として、通年商品や継続商品を多く展開し、卸売用の本部在庫を保有している場合や、別注商品の受注数が多く、一定の在庫を保管する必要がある場合など、本社倉庫の在庫を卸売用と小売用に分けて管理している組織も存在すると考えられます。そのような場合も、できるだけシンプルに在庫管理を考えることがベターです。小売と卸売を、別の事業部で運営している場合、事業部単体の売上予算達成が目的化する、更に言えば事業部ごとのテリトリー意識が芽生え、卸用の在庫を小売に回さない、また逆のケースも発生したりします。そのようなことが常態化すると、会社組織全体でみれば、売上・粗利の減少、在庫過多の要因となりかねません。したがって、本社倉庫の在庫が卸売用と小売用に分類されている場合でも、在庫の移動が円滑に行える仕組みづくりと、できる限り簡素な在庫管理を実現できる仕組みが必要です。

〇(小売りの)標準店舗の確立

卸売業を主体とするブランドが小売業を運営する場合、小売における標準店舗の確立が不可欠となります。標準店舗の年間損益計画はもちろん、売上・粗利予算に基づいた標準店舗のMD予算策定が必要です。特に重要なのは、標準店舗の商品の標準展開アイテム数から、年間の投入アイテム数を算出することです。言うまでもなく、実店舗を持たずにECのみで小売業を運営する場合であっても、標準店舗における商品の標準展開アイテム数を設定する必要があります。その際、小売のみで商品の最小ロット数を満たせるアイテム数がどれくらいあるのかなどを事前に算出しておくと、小売業の運営を円滑に進めることができます。以下、参考となる記事のリンクを貼っておきますので、ぜひご覧ください。

自分たちのブランドの販売期間の設定を知っていますか??

★卸売と小売とでは、顧客のニーズが違う?

前述のとおり、卸売業を主体とする組織が小売業を運営する場合、標準店舗における商品の標準展開アイテム数から、年間の投入アイテム数を算出することが重要であると申し上げました。ただし、ここで注意すべき点は、展示会に展開する商品アイテム数は、小売業で必要とするアイテム数よりも多めに展開した方が理想的だということです。その理由は、これまで支援してきた卸売業を主体とし小売業を運営する組織のデータを分析した結果、必ずしも展示会の受注傾向と小売業の売上傾向が一致するとは限らないケースが多いためです。
小売業で必要な商品は、日々のデータ分析やデザイナー・MDなどとの打ち合わせを通じて、展示会前に一定程度共有できている場合が多いでしょう。しかしながら、小売業の意向のみを反映した展示会を開催すると、卸先からの受注が減少する可能性が高いという側面もあります。卸先のMD・バイヤーの視点から見ると、展示会で商品を発注する際、その商品の位置付けが売れ筋商品なのか、あるいは見せ筋商品なのかは、各MD・バイヤーによって異なります。また、卸先側のショップの顧客ターゲットと卸売業側の顧客ターゲットとの間にずれが生じる場合もあり、卸売業と小売業で商品の受注傾向が異なる可能性が高いと考えられます。したがって、展示会を開催する際は、小売側の視点だけでなく、卸売業の顧客の動向も意識しなければなりませんし、小売のMD運用は、展示会を基準に考えることは前提としつつも、不要な商品の発注は避けるべきであり、小売業側のみで展開する商品の選定も検討する必要があります(最小ロットの確認は必須です)。そのためには、小売業だけでなく卸売業のデータ分析・検証も具体的に行えるよう、準備を整えることが重要となります。
今回は卸売業主体の組織が、小売業を運営する際に、意識・注意すべき点をお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?今回の記事が、読者の皆様方のお役に立てれば幸いです。

マーチャンダイジング関連のサービスは、以下のリンクをクリックしてご確認くださいm(__)m

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