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MD戦略の見直しは簡単ではない!

★MD戦略の見直しは簡単ではない?

この数年の気候変動によって従来型?と言われるマーチャンダイジングの戦略の見直しについては、このブログのみならず他の識者もよく論じています。

(今年は、7月が長梅雨でここ数年にない気温の低さ。翻って、8月は猛暑だった)

特にMDの”5適”で言う”適時”の見直しが急務なのでしょう。寧ろ、アパレル・ファッション小売業の7割以上?の組織は、”適時”ではなく”適温”に見合った商品の品揃えと考え方を変えた方がいいのかもしれませんし、今回の新型コロナの件も重なり、その議論は更に加速しています。

このブログでも何度か触れていますが、この10数年多くのアパレル・ファッション小売業が、この問題を見過ごしてきたのではありません。寧ろ、ここ数年が想定以上の異常気温になってしまい、対応できなかった_| ̄|○というところが本当のことです。

しかしながら、ここ最近よく言われるようなMD戦略の見直し。とくに”適時”に関する見直しが、どの組織も簡単にできるのでしょうか?このことを今回考えていきます。

 

★品揃え政策の方向性を決める際に意識することとは?

マーチャンダイザー(以下MD)が、次シーズンの品揃えの方向性を示す。大枠を決める最初の段階は、組織によってそれぞれ違います。ですが、多くのアパレル・ファッション小売業の場合は、かなり早い段階から次シーズンの品揃えの方向性を決めるディレクションを行っています。早い組織は1年以上も前からです。
(何故、こんなに早く次シーズンの品揃えの始動が早いのか?という話は、今回はしません)

そして、その大枠のディレクションを月→週等の商品計画に落とし込む作業をしていきます。この際に、当然のことながら商品のことだけではなく、数字の計画もしっかりと作成しなければなりません。

MDはそうした大枠のディレクションから投入計画を決める際に、4つのことを意識しなければなりません。その4つのとは?

・ブランド・ショップコンセプト
・トレンド
・過去データの分析
・その他

これは、私の独断と偏見ではありますが、このことです。

 

★過去データの分析は大事

その中でも過去データの分析というのは、この業界のMDが思う以上に重要です。

実は多くの組織が過去データを調べると、売上の良い年・悪い年でカテゴリー単位での売れ方の変化はあっても、適時に関するデータ。売れはじめ→ピーク→売れ終わりの推移は、殆ど変わりのない数字が出てきます。(調べてみて初めて理解するMDもこの業界には多い筈です)

何故ならば、過去データ分析から見える”適時”の傾向というのが、そのブランド・ショップの癖でもあるからです。このことを無視して、”適時”に関する大幅なMDの見直しをすれば、大失敗する可能性が高いでしょう。

また、ここ数年の気候変動を見越して、商品投入のタイミングを遅らせている組織もあるでしょうが、そのような場合も売れるピークと売れ終わりは、おそらく殆ど過去と変わらない筈です。(盛夏商品に関しては、売れ終わりが伸びている可能性があるが、多少販売期間を伸ばした改革くらいでは、過去とほぼ同じ傾向になる可能性が高い)

このようなことを、このアパレル小売り業の多くの組織が、過去データを調べ自社の傾向を知ることがまず重要になります。

 

★”仮説”を立て”意志”を入れるとは?

そして、MDの”適時”に関する戦略を変えるには、過去データの傾向にない数字を、MD予算設計の際に”仮説”を立て”意志”を反映させなければならない!ということになります。それも大胆に意志を込めて!です。

では、そのように仮説を立てたら良いのか?これは、以前下記のブログにも書きましたが、MD日記を日々手帳に書いておく!ということが、やはり1番オススメです。

マーチャンダイザーにオススメしたい習慣

上記のブログと重複しますが、日付と気温を必ず記入し、店頭や顧客ターゲットに近い人のリサーチの中で感じた”気づき“をメモ書きとして残しておく。このことが重要です。

・布団を夏仕様から冬仕様に変える日にち。冬アウターの在庫ピークは、そのタイミングで持ってくる?
・多くの人に試着されていても、中々売れない商品がある。それは何故か?→実際の接客を聞いてメモをして、適品の精度をアップしていく。
・朝飲むコーヒーがアイスからホットに変わった、〇〇商品の投入はこの時期?

繰り返しますが、そのようなこと年中地道に行う!ということこそが、1番の近道になります。更にしつこく繰り返しますと。

”人はその時々に、気づいたこと・思っていたことをすぐに忘れる生き物!”

ということを肝に命じなければなりません。

そして、私個人の話をしますと、過去データとその手帳から導き出した仮説を摺合せ(当時は大した過去データ分析はしてなかったが)次シーズンの品揃え。特に”適品”と”適時”に関することの参考にしていました。

この例がいいのかはわかりませんが、”適時”に関するMD戦略の見直しと言っても簡単ではありません。だからこそ、過去データの分析で自社の傾向・癖を掴み、日々足を使って稼いだ情報から”仮説”を立て、そのことを摺合せMD戦略の見直しに、”意志”として品揃え計画とそのことを数字に反映させる。このことが必要なのではないでしょうか。

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