メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
このブログでも何度か触れていますが、今回のコロナ禍の影響。とくに4月から5月にかけての緊急事態宣言による店舗営業休止の影響で、殆どのアパレル小売業が、この春夏商品のセール施策による在庫削減を余儀なくされました。このことで、各社の損益にも多大な悪影響を及ぼしています。
しかしながら、各社の決算関連書類を読むと、中には、”いくらなんでも、セール(値引き)しすぎでねえか?”という企業も散見されます。(このことは、先日アップした記事で触れています)
このことをもっと詳しく説明すると。。。
“店頭で70%OFFして売っている商品のOFF率は65%でも良かったのではないか?”
“60%OFFは50%OFFでも売れていたのではないか?””2BUY10%は本当に必要だったの?”
これらのようなことです。
このセール価格の設定は、ある程度の根拠を持って設定することができれば、必要以上のOFFで売上・粗利益を喪失する可能性が少なくなります。そのことが、組織の損益に与える影響は軽微ではない!ということを、価格決定権限を有するマーチャンダイザーは踏まえなければなりません。
何故、上記したような”値引きをしすぎる”といった現象が起こるのでしょうか?
それは。。。
このことです。
特に、今回の春夏商戦は、コロナ禍の影響で在庫がだぶつくのが目に見えていましたから、このような現象が多く起きているのだと思います。
また、このことは今回のコロナ禍の影響等は関係なく、OFF率のルールが、70・50・40・30%と使える数字が決まっているからとか、なんとなくクリスタルな感覚だけでセール価格を設定してきたとか、そのような組織が未だに多いのでは?と思われます。
では、”(セール時)に必要以上の値引きをしないようにするためには、どのようなことを意識した良いのか?”と言いますと。それは。。。
このことになります。
これらのことを順を追って簡単に説明致しますと。
→これは、まだ店舗をオープンしたばかり、外的要因に大きく左右される(今回のコロナ禍はそのケース)ような店舗ですと、先の売上の見通しは立てづらいのですが、長年出店している店舗。分母が大きい組織の売上予測は、過去データ等を活用すれば、それほど大きなズレがなく、先の売上見通しを立てられます。このことがまず必要となります。
(精度の高い売上予測を出すには、MD予算をしっかりと設計しておくこと、単品ごとに先の売上シミュレーションを出す等の方法がある。更に併用するともっと精度があがる)
→これはどこの組織も実践していることだと思います。但し、春夏商品・秋商品の端境期だとか、定番品と呼ばれる商品在庫が多い等、ややこしい側面もあります。このブログでもいつも記載していますが、在庫の質がすぐにわかるルール設定。ということをしていおけば、そのことだけでリスクヘッジとなります。
①②が終了したら、売上高を鑑みながら、”粗利益率のターゲットを設定し、最低限必要な粗利益高の目標を定める!”このことが重要です。常々、私は”(MDの仕事の成果は)売上だけでなく粗利益高が重要!”ということを訴えていますから、このことが重要となるわけです。そして、①②③が定まると、売上原価高も同時に算出さます。
そのことで、上記の目標に達する必要な売上原価。ある意味、売上点数の目安がわかるわけです。
また同時に、組織の値入率が把握できていれば、値入率と粗利率の差から、上記の目標数値に達するためのOFF率(値引き・割引率)が算出出来ます。このことができれば、前準備が整うということになります。私が常々、
“値入率65%の商品がセールして売れた結果、粗利率が50%になった。この商品のOFF率は何%になりますか?”
このような問題を連載でよく出題しているのは、上記のようなケースで必要となるからです。
次回のブログでは、簡単にこのブログでも述べた手法を数字を使い解りやすく記載することを試みてみます。では、皆様良い1日をお過ごしください。
特別記事をアップしてますので、こちらも是非ご覧くださいm(__)m
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。