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2021年がスタートした…、と思ったらいきなりの緊急事態宣言。小売やってる人間からしたら「勘弁してよ…」というレベルで落胆しますね。自分たちの所属する産業が衰退していく様を日々感じるというのはこれほど恐ろしいものなのかと。
店舗が閉まる訳ではないので何かしら対策できないか?と考えてはみますが、
「店頭集客は相当減少している」
「店頭に集客すると叩かれる」
「給与も減ってるから財布の紐がかたくなっている」
などなど…。1月の数字はまだ出ていませんが、セールの盛り上がらなさを考慮するとほとんどのブランドがズタボロの業績ではないでしょうか。筆者もこれは対岸の火事ではありませんので、ECで何とか補填できないか?と試行錯誤の毎日です。1点でも、1円でも多く売るための施策を考えたいですし、小売はその積み重ねでしかないと思っております。
弊社のようにECを生業にしておりますとこんな状況の方が問い合わせが多かったりします。外出を自粛するお客様が多い以上、ECで出来る限り売上を取りたいというのは皆様同様に思うところでしょう。
外出自体が減るのだからお客様の購買意欲が下がる、というのも一つの事実ですし、全てのブランドがルームウェアやワンマイルウェアの提案で売り上げが担保される訳でもありません。とは言え、やるからには言い訳などしている暇もありません。幸い?にも、EC運用しているブランドの多くは、まだまだ機会損失しているケースが多いので取り組み次第で即効性がある事も多いのです。しかし、最優先の項目は果たして本当に「EC強化」なのかどうかはしっかり考えなければなりません。
例えば、すぐECで売れるブランドはどのような状況でしょうか?
◯既に認知度が高い
◯店頭に顧客がたくさん付いている・顧客名簿の数が多い
◯ソーシャルメディアのフォロワーに見込み客がたくさんいる
などでしょうか。ではこれらのブランドが次に確認するべきは何でしょうか?
毎度しつこく言いますが、ECやるならその前にMDが緻密に設計されているか改めて確認してください。よくあるケースを解説していきます。
商品カテゴリーの分類が曖昧なだけで機会損失を起こすケースがあります。ブランドの指名検索においてよくあるパターンは「ブランド名 アイテム名」のような複数のキーワードの組み合わせです。お客様が検索するキーワードを確認していますと、検索クエリとブランドがあらかじめ用意しているカテゴリーの乖離があり、そのキーワードを競合他社やモールに取られてしまっている事がよくあるのです。特に注意すべきはブランドのアイコンアイテムでしょうか。カテゴリーページが存在していればもうちょっと検索上位を取れたであろう商品は洗い出してみると結構あったりしますが、カテゴリー分類を適当にやってしまうとこのような機会損失があるという事ですね。
このようなケースでもMDを優先的に設計しておけば回避出来る問題ですし、それに沿ってサイトを回収していくべきでしょう。
雑誌掲載やインフルエンサー活用で商品が露出されているのに、ECサイトを見たら商品がまだ未入荷…、なんていうケースも散見されます。(特にギフティング)お客様が商品を見て「欲しい!」と思い行動を起こした段階で、サイトへ遷移し直感的に商品をすぐ見つける事が出来るのが理想的ですが、それが出来ないのは何故でしょうか。それは品揃え計画・展開計画・販促計画が連動していない、もしくは確認していないからです。
どの商品がいつ入荷し、それに連動した販促が実行されていて、そのタイミングで商品がアップロードされている…。これも事前にMD設計があればそれに連動してEC運用のスケジュールを決めれば良いだけなんですが、大元の計画が無いせいで「そもそも今月は何をメインで販売したらいか」が曖昧だったり、ひどい場合は売上目標すら曖昧なケースも。オーダーにロジックが無い段階で、その商品が売れる根拠が乏しく、付け焼き刃で販促を実行したとしても消化スピードは上がりません。最終、売れ残ったものをクーポン・セールで無理やり消化していくといった対策に収斂していくでしょう。
これについてはソーシャルメディアの運用も同様ですね。どのような運用方法だとしても、最終的にはECサイトに送客が目的なのであればMD設計に沿って運用するのが一番効果的です。
毎回書いている事ではあるのですが、いまだに企業様からのご相談ではMD設計が曖昧であるケースが多く、中にはブランドの設計自体がまだ未完成なままECをやりたがる企業様もいらっしゃいます。こんな時だからEC、というのは理解できますし、オンライン専業でやりたいというのも良いと思います。ただその前に、優先的に取り掛かからなければならない事は何なのか?をしっかり考えてみてください。ファンがいない状況なら、ECはBASEでスタートしてPRに優先的にお金を使い、ファン獲得していく方が効率が良いかもしれません。ECサイトを作り込む際に、自社のブランド属性と顧客・MDを見つめ直してから情報設計はしていますでしょうか。今おかれている環境を無視したEC強化は失敗する可能性が格段に上がってしまうので、「こんな時だから」と焦って順番をすっ飛ばさないようお気をつけください。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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