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以前、店長へ向けて以下の記事を書きました。
その記事の中で、MDが特に気にするべき指標は。
とお伝えしました。
更に、売上が伸びていても売上を分解してみたときに、客数が減少している状況ならば、MDにとっては好ましい状況とは言えない。更に言えば、その客単価の上昇が1点単価の上昇であった場合、そのショップ・ブランドの先の未来は、あまりよろしくない!ということもお伝えしました。
そこで、今回の記事では、売上がアップな状況でも、客数×客単価に売上を分解したときのケースを何パターンか提示し、その状況はMDにとって好ましい状況なのか?好ましくない状況なのか?ということを、独断と偏見で簡単に考察していきます。
考察を始める前に、客数の増減というものは、外的要因に大きく左右されることになります。わかりやすい例としては、2020年の新型コロナウィルスの件です。そのような外的要因に大きく客数は影響が受けた場合は、ディベロッパー情報や競合他社の数字などを確認して、どのくらい外的要因に左右されたのか?ということを、しっかりと見極めるようにしましょう。また、客数の増減で大事なのは、自分たち自身の問題に影響される内的要因を具体的に見極めることが重要です。この内的要因をしっかりと分析した上で、今後の施策へと繋げていきましょう。
では、以下。売上がアップした状況で売上を分解した際の、3つのケースを私の方で作成しました。以下、確認お願い致します。
A
・売上アップ
・客数ダウン
・客単価アップB
・売上アップ
・客数アップ
・客単価アップC
・売上アップ
・客数アップ
・客単価ダウン
この3パターンです。では、以下ケース別に考察していきます。
A
・売上アップ
・客数ダウン
・客単価アップ
これは、上記の過去ブログでも触れているように、MDにとっては好ましい状態とは言えません。(販売側にとっては、販売の実力で売っているのですから、誇っても良い状況です。そして、客単価の上昇がSET率ではなく、(過去データと照らして)1点単価で伸びているとしたら。。。特に、1点単価が5%以上アップで黄信号。10%以上アップですと、これは赤信号です。何故ならば、これをお客様の視点で見れば、(ショップ・ブランドの)コンセプトに基づく、元々の価格設定”適格”を支持していたお客様から。。。
”このブランド・ショップなんとなく高くなったな?””(なんか)値上げした?”
というような、ステルス値上げをしたも同然で、ショップから足が遠のく可能性が高まるからです。そのくらい、お客様から見た価格の見え方というのは重要です。1点単価が知らずうちに10%も上がったということは、ある意味ブランド・ショップコンセプトを変えた!ということて同義であり、MDはこのことを特に意識しなければなりません。このような状況での売上アップは、早い段階で更なる客数の減少から、売上が低下する可能性は大と言えますので、売上がまだ良い状態のうちに、MDは何かしらの策を講じなければなりません。
B
・売上アップ
・客数アップ
・客単価アップ
これは、当然MDにとっては好ましいケースですし、このケースだと売上は跳ね上がっていることでしょう。しかしながら、このケースで気になるのは、客単価のUPです。客単価のアップは、組織にとって好ましいことではありますが、Aのケースと同様に客単価を分解した際に(1点単価×SET率)、1点単価が上昇して客単価が上がっている場合には、注意が必要です。
特に10%を超えるような1点単価のアップは、お客様からみた価格のイメージは、前述したように、”(このショップ・ブランド)は、だいぶ上がったな?”とも捉えることができるので、客数の伸びが微増で、1点単価が大幅に上がった客単価の上昇の場合などは、先の客数低下による売上の減少を招く可能性が高いとも言えます。ですが、商品の値上げをお客様に事前告知していた場合は、値上げをお客様に認知してもらえた!と捉えることが出来ますので、その場合は安心しても良いでしょう。
C
・売上アップ
・客数アップ
・客単価ダウン
このケースは、客数のアップで売上が伸びていますから、好ましいことだと言えます。特に1点単価はキープでSET率がダウンであれば、問題はありません。SET率は、販売現場のスキルに大きく左右される指標ですが、見方を変えればSET率が上がると、更に売上がUPするという伸びしろがあるので、MD自身の仕事としては、あまり問題視する必要はないでしょう。ですが、このケースも1点単価が10%以上ダウンしている状況で、このケースに着地したならば注意をする必要があります。その際に、注意すべき指標は”粗利率”です。粗利率が過去と比べかなり下がって出ているようでしたら、いつもよりもセール施策を大々的に行っている可能性が高く、その影響で客数が伸びた!と考えることができるからです。その際は、MDの特に”適品””適量”の精度を上げるような修正が必要になります。
また、1点単価のダウンがセールでなく、自然とそう着地したのならば、上述した。。。
”(このショップ・ブランド)は、だいぶ買いやすい価格になったな?”と逆に捉えることができるので、良いことであるかもしれません。しかしながら、元々のブランドコンセプトに基づいて決めた、”適格”があるのですから、そのこと反して、ステルス値下げをして得られたこの結果は、あまり良いものとは言えないでしょう。何故ならば、価格を下げれば”お客様に支持される!”ということが常態化すれば、そのことが麻薬のように離れられないものとなり、その先に何も良い影響はあたえないからです。
以上。売上が良くても、売上を分解した場合、MDが注意すべき点を纏めました。
えてして、アパレル・ファッション小売業界は、”売上さえ取れていれば安泰!”という姿勢の組織・人が多くいます。しかしながら、その売上を分解してみると、実は”危機がもうすぐそこに迫っている!”というケースが多くみられます。ですから、売上を分解してみて、その分解した数字から見える良い点・悪い点を具体的に抽出し、売上が低下する前にスピードをもって、問題解決に繋げていく!ということが重要になります。これまで、売上の増減にしか注目してこなかった方々には、今回のブログが少しでも役立てば幸いです。以上で今回のブログは終了です。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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