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期初の仕入を削減するには?

次回の私の記事は、5月11日の火曜日8:00頃に会員様限定で、”社としてMD改革を進める際に実践すべきこととは?(仮題)”をメルマガ配信します。会員登録は無料となっておりますので、よろしくお願いいたします。

 

★最近気になる文言

このコロナ禍になってから、アパレル小売のニュースでよく目にする文言があります。それは。。。

”期初の仕入を70%程度に削減し,在庫削減を実現”

このような文言です。

私は、このような曖昧な表現に非常に危うさを覚えます。一体、どの・何の指標に対して数字を70%削減したのか?という、具体的なことが全く見えません。特に危うさを感じるのが、この言葉の表面上の意味だけで捉え仕入を削減したことで、売上も粗利も減少しまった_| ̄|○このような組織が多くなる懸念を抱いています。

そもそも、アパレル小売における仕入の基本的な考え方は、”売れる分だけ仕入する!”このことです。仕入削減の数字がKPIになることで、MD等実務者が仕入の削減ばかりに意識が行くことで、絶対に仕入れるべき商品の仕入を躊躇することで、更なる売上・粗利の減少を招くことを、特に懸念しています。更に言えば、アパレル小売業は、多くのブランド・ショップがあります。コンセプトやメンズ・レディース。または、商品の供給先等によって、仕入計画を含めたMD戦略は相対的に変わって然るべきです。

 

★期初の仕入を抑えるには、どのようなことが必要なのか?

ですが、期初の仕入の方法を抑えることが不可能なのか?と言えば、そういうわけでもありません。では、どのような材料がそろえば、期初の商品仕入を抑えることが出来るのか?以下、述べていきます。

期初の仕入を抑えるには、以下2つのことを意識しなければなりません。それは。。。

・(商品の)販売期間の設定
・(商品の)リードタイム(以下LT)

このことです。

期初の仕入を削減するには?ということを以下、簡単な例を用い説明すると。(今回は、読者の皆様方にわかりやすく伝える為に、敢えて粗利や売上原価に触れず、売上金額だけで説明します)

・例
あるバッグメーカーのAは、2か月間限定のショップをオープンすることにした。売上予算は2か月で200万。このバッグメーカーの商品のLTは2か月。

となると、このバッグメーカーの店は、期初に最低でも200万円以上の元売価分を仕入しないと、売上予算を達成することが出来ません。このような状況で仕入を7割程度に削減すれば、売上も7割以下にしかならない!ということは、皆様にもおわかりいただけるでしょう。

では、このバッグメーカーのLTが1か月だとしたらどうなるでしょうか?

この場合は、極論を言えば、オープン初日に商品の追加発注をしておけば、商品の初回発注分は売上の1か月ちょいくらいで良い!ということは、皆様にもご理解頂けるでしょうから、冒頭述べたような期初の仕入が削減できる!ということになります。

話を纏めると、販売期間の設定がLT以上に長い期間設定でないと、期初の仕入を削減すれば売上も同時に低下する!このことになります。特に、販売期間の設定を短くし鮮度を意識するレディースのショップ・ブランドは、現状、LT以上の販売期間の設定することは厳しいでしょうから、期初の仕入を削減するのは、ほぼ不可能である!ということです。

話を戻して、上記のバッグメーカーの例で言うと、理論上は商品の初回発注は、売上の一か月分程度発注しておけば良い!ということになりますが、販売の経験のある皆様方は、ご理解頂けると思いますが、おそらくそのような発注の仕方ですと、オープンしてから月の半分を過ぎた辺りで人気の商品のカラー欠けが目立ち始め、店の売上が予算に対して下回るという日が続くでしょう。ですから、実際には1.5か月分くらいの売上金額分を初回に発注しないと、店の売上予算が達成されることはないと推測出来ます。

★(商品の)初回・追加発注の精度を上げるには?

しかしながら、前述した

”1.5か月分くらいの売上分を初回発注する”

というのも、ナンダカ曖昧です。この精度をより上げるにはどのようにしたら良いのか?と言いますと、それは、商品管理ルールの中で、新規売上(商品の初回発注分のこと)と追加売上のデータをとれるようにしておく!ということが重要になります。

MDの予算設計や期中での活動において、過去データの活用というのは、皆様方が思っている以上に大事なことです。何故ならば、過去データの傾向というのは、そのショップ・ブランドの癖であり、そのことをまるで無視して、MDの仕事を行っても、仕事の成果を得るのは難しくなるからです。

仮に上記のバッグメーカーの2か月限定ショップの過去データが、新規商品の売上構成75%。追加商品の売上構成25%となっているとしたら、MDは売上予算の75%を初回発注し、期中で売上の傾向を見ながら、次の追加商品の仕入をコントロールしていく!このことで、在庫コントロールの精度は上がる!ということです。

しかしながら、このことにもデメリットがあります。それは、MD予算設計が難解・複雑になりがちになる。ということです。その他にも商品の追加ジャッジが遅れると、店頭の品掛けが多くなり売り逃しが発生することによる売上の低下を招きます。このようなことを理解して頂ける幸いです。

★他社の成功事例を鵜呑みにする前に

今回は、読者の皆様に簡単に期初の仕入を抑えるには!ということを説明する為に、敢えて売上だけでこのことを説明しましたが、実際には、仕入の基本は売上・粗利ターゲットであり、値入率と粗利率の差によって、売上予算よりも多めの仕入元売価金額を仕入ることが出来ます。このことは下記の私の連載にてご確認ください。

仕入予算は適当に考えたらダメ①


また、販売期間の設定等は、私が過去に書いた下記の記事を参考にしてください。

商品の販売期間がどのくらいなのか?を知っていますか?


最後に、冒頭述べたようなマスコミ等で報じられる成功事例?体験等は、文面の表面上だけで捉え真似ようとすると、状況を更に悪化させることに繋がります。ですので、そのようなことにならないように、その意味・内容を具体的に掴み、自分たちの組織でも出来るのか?真似ても意味がないのか?ということを深く考えてから行動を起こすべきです。今回の記事が、皆様方のお役に立つことが出来れば幸いです。

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