ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

過去の失敗を責めるよりも先の未来を良くすることが大事

★会議とは?

私のブログがアップされるのは火曜日になりますが、月曜日(EC専業ブランド等はデータの関係で火曜日)に週次会議を行っている小売業の組織は多いことでしょう。因みに、会議やMTとは何故行わなければならないのでしょうか?因みに、私の独断と偏見での解釈ですが、会議の目的を以下記載しますと。

”(会議参加者の)意見を出し合い、討論し、ベターな案を創出・採用・決定・実践に移す場”

だと考えています。要は、これまでの結果を受けて、会議参加者で討論し、この先を良くするベターな策を決定し、実践に移す場である!ということです。

ということは?会議の場で、過去の結果ばかりを討論しても意味がないですし、過去の失敗を責めてもあまり意味がない!ということになります。私自身も、かつては過去の結果ばかりに終始し、売れなければ怒号が飛び交うような会議を経験してきました。また、当時の私は、現在のように会議の意味や目的を理解していなかったように思います。

会議の理想としては、過去の検証はしっかりと行っているという前提で、過去2:未来8くらいで行うのが理想だとは思うのですが、現状、過去8:未来2になっているような組織は、先ずは過去5:未来5を目指すべきでしょう。また、この会議の場で先を良くする策を話合い、実践に移す!ということは、MDにとっても大事なことです。ここからは、MDにおける例を挙げ、未来を良くする為には、どのようなことが必要なのか?ということを、ごくごく簡単に説明していきます。

 

★未来を良くするする為の会議に必要なものとは?

(例)ここ数カ月の売上が予算に対して、90%前後の事業部がある。この事業部の現状を以下箇条書きすると。

・現在11月末でAW商戦の売上が予算比の90%前後
・この事業部の値入率は60%。プロパー消化を意識しているので、粗利率は高いが在庫過多の懸念がある。
・値入率60%(過去の数か月の粗利率は、ほぼ値入率に近しい)
・(AW商品の)11月末在庫原価4000万円。12月以降の仕入原価は2000万円で発注済
・SS商品を早く立ち上げたいので、1月末にはAW在庫をほぼ0にしたい。
・12月・1月の売上予測は予算の90%で、12月・1月ともに5000万円。

このような事業部があったとします。

仮に、これが昨今よく言われるプロパー消化に拘るとして、基本セールをしない!とします。その場合、粗利率は値入率と同じ60%に設定すべきですが、ロス等を考慮し、粗利率を58%と設定すると。以下のようになります。

→1億円(売上予測)×(1-58%)=4200万円(12月・1月の売上原価)
→4000万円(11月期末在庫)+2000万円(12月以降のAW仕入)-4200万円=1800万円(1月末の在庫原価)

となり、1月末にかなりの金額のAW商品が余ってしまうことが確定します。プロパー消化に拘るならば、2月も引き続きこの商品を展開すれば、消化は出来るかもしれませんが、春物商品の立上が遅れ、先の商品計画の大幅な変更を余儀なくされてしまいます。(そもそも2月は大幅に売上が下がるので、AW商品在庫はかなり余ると予測される)

このような先のことが見えているにもかかわらず、プロパー消化に拘るならば、セールをせずに在庫を残すという選択もありますが、その場合は、来年度のAW商品の仕入予算を減らすべきですし、アパレル小売りならば、仕入を減らした分の売上の低下も懸念さます。また、在庫を残すということは、在庫回転も悪化し、事業部の資金繰りの懸念が出てきます。

 

★局面を変えるには、新しい商品の仕入をするしかない?

このように先の見通しが、数字を用い具体的に出来ていれば、この後の取るべき施策を具体的に討論することが出来る!ということです。

先述したように、プロパー消化に拘ることで、ある一定の在庫が金額が残っても良い!ということであれば、それでも良いですが、企業経営を考えると良策ではないですし、売れていない場合は、セールを活用し在庫を消化し、新たな考えの基に仕入をした商品を投入することも大事です。売上の局面を変えるには、売れる商品を仕入するしかないのです。

ですから、1月まである程度在庫を減らす必要があるのならば、OFF率25%で設定し(その場合の粗利率は46.7%)、1月末で在庫を670万まで圧縮し、店頭のバランスを見ながら、2月のAW商戦の消化計画を具体的にどうするのか?ということを、11月末の段階で策を講じておけば、より実のある会議・MTになることでしょう。

(OFF率25%設定の計算式)
→1億円(売上予測)×(1-46.7%)=5330万円(12月・1月の売上原価)
→4000万円(11月期末在庫)+2000万円(12月以降のAW仕入)-5330万円=670万円(1月末の在庫原価)

この記事が、過去のことに終始して怒号が飛び交う会議の極滅に繋がれば、嬉しい限りです

この度は、記事をご覧頂きありがとうございます。次週もよろしくお願いいたします。

新しいサービスをスタートしました。店長育成にご興味のある企業・組織の方は、気軽にお問い合わせください。

「店長・SV向け講義」をスタートしました

MSMD & Co.,Ltd
MSMD & Co.,Ltd Twitter
弊社への問い合わせ・仕事依頼はこちら

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2021.10.29

YouTubeは稼げるのか?!YouTube登録者1,000人のリアルな収益を発表
3

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?

NEW POST

2024.04.25

バロックジャパンリミテッドのEC売上はどう推移している?

2024.04.23

MD視点でみる決算資料~バロックジャパンリミテッド編~

2024.04.18

TOKYO BASEのEC売上はどう推移している?

2024.04.16

話題の企業の在庫を調べてみた!~MD視点でみる決算資料~

2024.04.12

今一度、インバウンドについて考えたい

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績