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ショップで売れ筋商品の在庫はどのくらいあれば良いの?

★在庫に関する、本部とショップのあるあるな話

今回は、ショップの仕事に従事されている皆様方へ向けて、記事を発信致します。

店と本部(MD等)との間で、よく交わされるやり取り言えば、

ショップ:「在庫があればもっと売れました!」
本部:「〇〇さんの店の在庫は足りていますよ!」
ショップ:「そんなことはありません。在庫が足りていないんです!」

等という、嚙み合わないやり取りです。
では、ショップ側は、在庫に関する建設的な意見を、本部に伝えるにはどのような知識を得れば良いのか?ということを意識してお伝えします。また、今回は在庫金額でお話をすると、他にも様々な知識が必要となりますので、できるだけ理解をしやすくする為に、在庫点数で話を進めさせていただきます。

★ショップ側が在庫に関することで、抑えるポイントとは?

では、ショップ側が在庫に関することで抑えるべきポイントを、以下順序立てて箇条書き致しますと。

①(組織全体の)商品の販売期間と発注数量を事前に確認する

②(売れ筋)商品の発注数量をショップ数で割り、自ショップが売らねばならない数量を知る

③自ショップがどのくらいの在庫を持てば良いのか?ということを考える

ざっくり言うと、この流れになります。

では以下、各項目ごとに話を進めて参ります。

 

①(組織全体の)商品の販売期間と発注数量を事前に確認する

先ず大事なことは、MD等から伝えられるであろう商品の発注数量を、事前に知っておくということです。
MDにとって商品の発注数量というものは、ショップに対する一番のメッセージであります。当然のことながら、発注数量の多い商品は、その商品を良い場所に出してほしい!ECで言えば、売れるコンテンツを作ってほしい!というメッセージになりますので、MDからショップ側に伝えられる商品の発注数量は、必ず事前に目を通すようにしておいてください。

また、これはMD側に強くお伝えしたいことですが、商品の発注数量をショップ側に伝える際に、併せて商品の販売期間・販売終了日を、しっかりとお伝えするようにしてください。販売期間を伝えることで、ショップ側は。
「この商品は、いつまでに売り切らなければならない!」
という意識が芽生えますので、商品を売ることだけでなく。自ショップであまり動きの良くない商品などは、ショップ側から本部側(MD・DB等)に早いタイミングで情報が寄せられるといったこともあります。そのことで、組織全体が在庫に関する意識が高まることに繋がるのが理想です。

 

②(売れ筋)商品の発注数量をショップ数で割り、自ショップが売らねばならない数量を知る

次は、自ショップで(売れ筋)商品を、どのくらいの数量を売らなければならないのか?ということを、以下例をあげ、皆様方にお伝えします。

今回は、50店舗展開(EC売上構成比30%)の架空の組織。そして、店舗間で売上の差が少ないとさせて頂きます。(本来は、店舗間での売上の格差を考慮しなければならないが、話がややこしくなるので、止めさせていただきます)

(例題)
・過去数字を基に売れ筋商品設定された商品A
・この組織の平日5日間の曜日別売上構成比は10%。土日は25%
・商品Aの販売期間は2カ月。初回発注数量8,000点
・リードタイム(以下LT)が2カ月なので商品の追加は出来ない
・この組織は、センター倉庫から毎日デリバリーがある

以上の設定と致します。以上お伝えした情報から算数を繰り返すことで、この商品Aを自ショップでどのくらい売らねばならないのか?という数量を算出することが出来ます。

今回のケースでは、この組織のEC売上構成比が30%となっておりますので、実店舗が売らなければならない数量は?

→8,000点×(1-30%)=5,600点(実店舗の必要商品数)
→5,600点÷50店舗=112点(1店舗当たりのショップの売上予定数量)

となります。更に、上記で算出されたを販売期間2カ月(61日)から、1週あたりの売上数量を算出します。

→(112点÷61日)×7日=約13点(1週あたりの平均売上数)

となります。また、今回の例題を見ると、ショップの平日と土日の売上構成比が記載されているので、平日・土日それぞれの1日あたりの平均売上数量が算出出来ます。

→13点×10%(平日の平均売上構成比)=約1.3点
→13点×25%(土日の平均売上構成比)=約3.2点

このことで、平日と土日それぞれの商品Aが売れるペースが算出出来ます。

 

③自ショップがどのくらいの在庫を持てば良いのか?ということを考える

ショップの1日平均の売上数量が算出出来れば、ショップがどのくらい日々在庫数量を持てば良いのか?ということの目安を算出することが出来ます。今回のこの組織は、毎日センター倉庫よりデリバリーがありますから、ショップは、平日2点在庫を持っておけば良い!ということが、ご理解頂ける筈です。1日の平均売上数は1.3点ですから、日によっては、平日2点売れる日があるとは思いますが、基本的には、これで店頭の在庫が欠けることはありません。そして、土日は4点在庫を持っておけば良い!ということが理解出来ます。(優秀なDBは、この辺の調整を日々行っています。また、実際は初速が良いケースが多いですから、上記の点数よりもプラスして、商品の初回配分が為されることが多いでしょう。)

ですが、当然のことながら、商品Aの売り始めと売り終わりのペースは違いますから、そのことは考慮しておくことと、売り始めの勢いが、平均よりも良い!とショップ側で判断出来た場合は?SVやDPと連携を取り、平日はできれば在庫3点土日は在庫5点は、確保できるように行動する!等という行動を起こした方が良いでしょう。更に言えば、昨今オムニチャネル等で実店舗とECが連動することで、在庫の比重をよりECの方に向けている等、組織それぞれに事情もあると思いますので、その辺の事情もショップと本部が双方にコミュニケーションを取ることが必要です。

 

★ショップ側とMD側に意識してほしいこと

今回の話は以上になりますが、今回のことはすべて算数を使っただけで出来ることです。ですので、ショップ側には、本部に意見具申をする際に、抽象的ではなく具体的な具申が出来るようにする為にも、今回お伝えしたことを、意識頂ければと存じます。また、最もお伝えしたいことは、MDは商品の発注数量とその意図を事前に、そして丁寧にショップ側に伝えてほしい!ということです。このような当たり前なことが為されなければ、いくらデジタルツールを活用しようが、それは絵に描いた餅にしかなりませんし、ショップ側からの信頼も得られないことでしょう。
この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。

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