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アウトレット(以下OL)でSやLL等の端々のサイズが残ると、価格を目一杯下げても、中々商品が売れない!
という経験を、皆様方もしたことがありませんか?
ということで、今回の記事はMDの仕事でいうところの”適量”を左右する仕事である、商品のサイズ展開における商品数量決定について考えていきます。
ここ数年、(現在は以前ほどではないかもですが)ビッグシルエットの服が世の中を席巻しています。私自身も、現在着用している服は、基本ビッグシルエットのサイズのものを着る機会が多いです。ビッグシルエットの服の利点は、多少サイズが大きくても問題ないということで、EC等通販で以前ほどサイズに神経質になることなく買い物をしやすくなったのではでしょうか?(ジャストサイズに拘るEC通販の会社もあるが(笑))
しかしながら、このビッグシルエットの服は曲者で、各サイズごとの数量を、会社内や客観的なサイズ規格等のデータを活用し、発注数量を決めているとイタイ目を見ることが多々あります。それはどのようなことかと言いますと?
ここからは、私の体のサイズ(身長約180センチ)で話をしていきます。(往々にして主観が入ってます。ご考慮願います。)
最近、私は”M”サイズの服を購入することが増えました。(以前は、殆どLサイズだった)Mサイズと言ってもビッグシルエットの服なので、私のジャストサイズの感覚で言えば、XLサイズの感覚です。もし、仮に試着せずに以前の感覚でLサイズを購入していれば、XXLの服くらいの大きさを購入してしまうことになります。
各ブランドによって、表示サイズの考え方。また、ビッグシルエットに関する考え方は相対的に違いますので、一概に私のサイズ感覚が正しいとは言えませんが、上述した私がビッグシルエットでMサイズの商品。この商品のLサイズが売れ残ったらどうなるでしょうか?恐らく、その商品が売れ筋商品だったとしたら、Sサイズ・Mサイズが無くなりLサイズのみになった時点で、その商品は死筋商品へと急速に変貌するでしょう。
なぜならば、私のような服好きは、デザイナーやディレクターが意図するシルエットで服を着用したいと考えますが、そうでない方々も多くいる!ということです。仮にこの商品のSサイズが残ってしまった場合は、おそらく170前後の方でSサイズがビッグシルエットになります。しかしながら、私くらいの身長(約180センチ)ですと、ある意味ジャストサイズとなりますので、そこまで服に拘りのない方々ならば、ジャストサイズとして売れる可能性が高いのは、Sサイズ!ということになります。仮に、この商品のLサイズだけが残ってしまった場合は、上述したようにその商品は、死筋商品と変わってしまうことになります。
このようなことにならない為に、MDはどのような数量バランスで、上記の商品を発注すべきなのか?ということを、以下例に上げると、メンズで言うS・M・L・LL等の4サイズある商品の発注数量バランスは?
→Sサイズ65% Mサイズ30% Lサイズ5% LLサイズ中止
上記のような数量のつけ方をします。
そもそも、そのような商品ならば、サイズ表記をズラセよ!という考え方もありますが、それではデザイナーやディレクターの商品に対する意図が反映されず、ただの量販商品のような感じになってしまいますから、私ならば上記のような数のつけ方にします。
しかしながら、既存の過去データ分析等だけで、上記の商品のサイズ別ごとの数量を出すと、以下のような数のつけ方になるでしょう。
→Sサイズ 20% Mサイズ40% Lサイズ30% LLサイズ10%
このような数のつけ方ですと、その商品が持っている実力が100だとすると、おそらく70程度の力しか持たない!ということになるでしょう。そうなると、残り30は在庫として商品が余ってしまう!そして、冒頭述べたように、OLで大幅な値下げをしても、全く売れない商品となりかねません。(言い換えれば、サイズごとの発注数量バランスを間違えなければ、売上が大幅にアップするということもある!ということ)
昨今、アパレルでも大手の組織は、MDの商品面と数字面の仕事をわけて行っている会社・組織が殆どです。ですが、たとえMDの数字面の仕事だけを担当していたとしても、デザイナーやディレクターが作る商品に興味を持ち、商品の発注数量を決める前に、必ず試着してから数を決める!ということを意識して頂ければと存じます。
(性別が違う場合は、必ず基準となる人を決め、試着してもらうようにする)
また、過去データをそのまま活用するような数量の決め方はいけません。なぜならば、その過去データは、過去の自分たちの発注傾向の癖を反映したものに過ぎないからです。もし、過去データを活用するならば、「もし●●商品のサイズごと発注数量が●●だったら?」というような仮説を入れた上で、そのデータを活用することをお勧めします。
最後に、売れている商品でもショップにとって「売りにくいサイズ」ばかりが残ってしまったら、どうしようもありません。これは”色”に関しても同じことです。各サイズ・色ごとの数量発注に迷ったときは?
という視点が必要!だということで、今回の記事は終了です。
この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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