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ブランドの属性やショップの業態によってKPIは大きく変わるというお話

タイトルを見て、「何を当たり前のことを言っているんだ?」と思われた方も多い事でしょう。しかし、アパレルEC界隈においてこれが実行されていないケースが非常に多いのです。(アパレルだけじゃ無いかもしれない…。)何故このようなことが発生するのでしょうか?

これはあくまで持論ですが、アパレルECにおいてGoogleアナリティクスやsearch consoleなどのデータを重視している組織が少なく、普段からデータを見る習慣が無いから、と考えております。弊社が支援で入るブランドも、大概はこのケースですね。そしてこの問題を放置しておくとどうなるか?ですが、

■ちょっと整備すれば検索流入で売上が簡単に取れるのに先にPRを強化し、検索からの売上を最適化できない。

■先に物を直接見てもらわないと売上につながりにくいのにSNSから直接の購買を狙う。

などなど、施策の優先順位を間違い、売れない理由が発生しやすくなります。そんな訳ですので、弊社で過去取り組んだ事例でいくつかケーススタディをご紹介しておきます。

(もっと手前のお話で「そもそも、どんな数字があるのかが不明」という企業様は下記を是非ご覧ください。)

初心者が確認しておくべきアパレルECのKPIについて – GA4編①

初心者が確認しておくべきアパレルECのKPIについて – GA4編①

初心者が確認しておくべきアパレルECのKPIについて – GA4編②

初心者が確認しておくべきアパレルECのKPIについて – GA4編②

◯セレクトショップ

セレクトショップの強みは多数のブランドを取り扱っている点でしょうか。この特性を利用すると意外と簡単に流入を伸ばすことができたりもします。まずは取り扱いブランドをいくつかシークレットモードでググってみてください。競合がそのブランド名で検索対策をしていない場合は簡単に上位を取ることが可能です。それぞれ検索ボリュームを確認しますと、認知がそこまで高くないブランドでも一定のファンがいるケースはよくございます。それを総取りできるチャンスが割と転がっているのです。何でしたらブランド本体まで頑張っていないこともあるあるなので、良いのか悪いのかよくわかりませんが。

このような場合はSNSや広告を頑張る前に、まずブランド一覧ページの検索対策や、トップページにてブランド一覧ページの導線をわかりやすく設置してあげることが優先され、そこの数字を日々追うことをおすすめします。

◯卸メインのブランド

知名度はそれなりにあるが、卸メインだった為にECをスタートしても顧客リストを持っていない、というケース。このような場合でもやはり認知があると指名検索は多数発生しております。ではその指名検索、適切に取れているのでしょうか?この場合の競合サイトは他社モールや卸先のセレクトショップ、そしてメルカリなどの二次流通、インポートブランドならバイマやファーフェッチなんかも競合になり得ます。

意外とトップページは公式が強かったりもするのですが、しっかりと「公式」「通販」など基本的なキーワードは網羅しておきましょう。そしてここで一番の課題はアイテムカテゴリー別の商品一覧ページの検索対策です。指名検索は何もブランド名単体で検索されるだけではなく、「ブランド名 アイテム名」の検索が非常に多いです。ではそれらで検索してみるとどこが上位に来ているのか?を確認し、対策をしなければなりません。ちなみにZOZOはここをめちゃくちゃ徹底しています。初期は、どのようにタイトル・ディスクリプションを整備したら良いのか?のお手本にしても良いでしょう。そんな訳でこのような場合、最初に見るべきはアイテムごとの一覧ページの整備と、そこからの流入から注文に至ったか?をしっかり見る必要があります。

◯販路がECのみの中価格帯D2Cブランド

販路がECのみでスタートしたブランドの初期フェーズは、とにかく商品を手にとって見てもらえる機会が非常に少ないです。ですから、そのような機会を作ってあげるのが重要なのですが、その前にリーチできるユーザーの母数が必要になります。その際に活用しやすいのがSNSですね。まずはブランドのビジュアル等のコンテンツを用いてSNSで見込み客にリーチ。コンテンツが整備されているならSNS広告を活用するのが良いでしょう。そこからフォロワー数の増加を狙うのですが、それだけだとフォロワーの質が高いかが不明ですし、かと言ってすぐに売上につなげるのも難しい。このケースでは先にメルマガ会員やLINEへの登録の増加数が初期のKPI設定として適切でしょう。プレゼントキャンペーンのような増やし方ではなく、ブランドのコンセプトやビジュアル、コーディネート・取り組み等を見てもらい、まずはここの母数を増やしていきましょう。プチプラなら拡散からすぐ購入、ということも多々あるかもしれませんが、中価格帯になってきますとそんな簡単に購入にまで至りません。ある程度、メルマガやLINEの母数が増えてくると、直接商品を手に取って見れる機会を作ってください。返品送料無料キャンペーンや試着会などの開催ですね。また、セール開催はお試しのトリガーになりやすいので、セールを活用するという手もありでしょう。

◯プチプラ量販系ブランド

量販系のブランドは既に売上が作れているケースが多く、とにかく型数や物量勝負になりやすいです。この場合、値引き施策を取ることが多く、中には商品画像の当たりが悪いと「当たるまで」差し替える、ということを実行しているブランドもあるようです。また、インフルエンサー活用やWEB広告費に資金を投下することも多く、資金力勝負な側面もあります。この場合、実行している施策から「粗利・営業利益」がどの程度取れているか?は先に見ておいた方が良いでしょう。EC単体でのPLを作成し、目標となる粗利を設定。値引き施策をそこに合わせて調整します。また、広告費と営業利益の関係も見ておきましょう。トップラインは伸びたが利益は落ちた、ということになりかねません。新規獲得からリピート率を維持できているならまだ良いのですが、そこが最適化されていないのに、ただただカンフル剤的に広告を出稿しても利益率が改善されません。

いつくか簡単に業態別のKPIについてお話しましたが、ブランドの属性が変わると当然、顧客の属性も大きく変わります。顧客属性によっては行動パターンが全然違いますから、それに合わせて施策立案も必要になります。自社はどんな業態で、自分たちのお客様は誰なのか?その場合、どの数字を見て、どのように対策したら良いのか?は個別で変わってきますので十分ご注意ください。ざっくりと見ておくべき基礎データを常に見ながら、自社では重要となる数値の設定をしっかり見つけてください。

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