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売上が低迷しているときに局面を打開するには、商品を仕入なければ打開できない?②

★仕入予算以上に仕入をし過ぎた場合は、どうすれば良いのか?

前回の記事は、売上が低迷しているときに、ただ闇雲に仕入を抑制しすぎると、それ以上に売上も粗利も抑制されてしまう!といった内容でした。

売上が低迷しているときに局面を打開するには、商品を仕入なければ打開できない?


今回の記事も引き続き、売上が低迷しているときに局面を打開することを考えてみたいと存じますが、前回の例とは逆のパターン。売れていないアイテムを、オーバー仕入した場合を例にあげ、このことについて考えていきます。(注:売れていないアイテムは在庫消化に注力し、他のアイテムの売上・粗利を伸ばせばよいのでは?という考え方が王道ですが、読者の皆様にわかりやすくお伝えする為に、前回も今回も敢えてアイテムを絞って話を進めています。)

今回の記事に取り上げる例は、以下の通りです。

(例)あるレディースブランドのSSニットの例
・現在3月1日。(1月2月は実績が出ている)
・このブランドはスタイル的に夏もニットが強い。
・ニットの1・2月の売上実績は、合計で予算の約80%の売上だった。
・今年はニットが良いと踏んでおり、感覚的に発注を増やした。
・上記の結果、現在4月までの商品発注分は仕入予算の115%。
・リードタイム(以下LT)は2カ月。
・これから5月の商品発注を行うところ。

となります。上記の例を表現した図は以下の通りです。

★本題に入る前に、理解しておいてほしいこと

まず、本題に入る前に述べておきたいことがあります。上記に掲げた例の組織は、まだ春商戦が始まる前だったにも関わらず、ニットを仕入予算の115%も仕入しています。そもそも、このようなことがあってはなりません。期中の結果が出る前は、設計をした仕入金額通りに商品発注を行わなければ、元も子もありません。昨今、LTが益々長くなる傾向にありますから、(期中に入る前までは)MD予算設計の精度と(仕入)予算を遵守することが求められます。このことが理解できていないと、在庫過多に陥る要因を増やすだけのことになりますので注意を払いましょう。
では、本題に入ります。

★少しでも仕入枠をあけ、売上・粗利をアップさせるには?

先ず、今回の例では1月2月の売上予算比が約80%になっていますから、3月以降の売上見込みを予算の約80%。粗利率予算はそのままに、下記の図にそのことを表現すると、以下のようになります。

この図をご覧いただけると、ご理解頂けると思いますが、仮に5月以降の仕入をストップしたとしても、8月末に約275万の原価分の商品が余ってしまいます。逆に5月以降の仕入を予算通りに発注すると、約950万円の原価分が残りますし、5月以降の仕入をストップしても、新規商品が入荷しない分、売上・粗利が下がってしまうのは確実ですから、現状の売上・粗利の予算比(約80%)を大きく下回ってしまうことになるでしょう。ですが、このままではいけません。仕入枠を空け少しでも売上・粗利を増やしたいところです。そこで考えたストーリーが以下の図になります。


このストーリーでは、4月になると気温上昇のスピードが上がることを加味し、不振商品はセールを行う。特に月末からゴールデンウイークがありますから、販促施策と連動して、売上も上昇に持っていきたいところです。更に言えば、大きい組織の場合などは、販路を増やすことも視野に入れると良いでしょう。また、5月以降も粗利を犠牲にし、5月の仕入枠を371万円捻出しました。この5月の仕入枠分は、過去のデータや顧客の購買等を分析し、必ず売れる商品を少ない品番で仕入をする!ということを前提とし、5月以降の売上をアップさせています。それでも、8月末に約100万円ほどの在庫が残ることを加味していますが、半期の売上・粗利とも、なんとか当初の予算比80%以上に上昇させています。このことを組織全体で速やかに実施しなければなりません。

上述したように、今回掲げたような例は、あってはならない!ことではありますが、アパレル・ファッション小売業では、既に春夏の商品発注が始まっていて、今回上げた例に該当する組織もあるかもしれません。このような状況に陥りそうな組織のMDには、今回の記事を是非参考にして頂ければと存じます。

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